Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
スポーツは跳ぶ,投げる,走る,の3つがその基本的な動きになっている.これらの動きは日常生活でみられるものより,烈しく,力強く,スピードを持って,繰返し行われる.スポーツを行うさいに,選手として行う場合と,余暇を利用しての楽しみとして行う場合ではその内容はおのずから異なったものがある.
選手としてのスポーツでは,過度の使用による影響,反復して加わる小外傷などにより,筋肉,腱,骨,関節などに過労性の変化が現われてくる.over use syndromeとも呼ばれている.これらをスポーツ障害と呼び,直接外力が作用して発生する外傷と区別して考えてよい.しかし,なかにはその区別が明瞭でないものがある.外傷性の要素がより強い疾患,障害性要素がより大きい疾患に分けられる.
肩関節ではどちらに属する疾患の方がより多いであろうか.その率はスポーツ選手の場合は同じくらいである.これに比し,一般にスポーツを楽しんで行っている人々では,外傷の方がより発生率が高いようである.スポーツの種目により,また,身体の部位によって障害が多いか,外傷が多いかの差異はある.
肩関節では,野球,テニス,バレー,体操などは障害性疾患が多く,ラグビー,サッカーなどでは外傷性疾患が多い.障害性疾患の代表的なものは野球肩といわれているもので,投球による肩関節の障害であり,その内容はいくつかに分けることができる.一方,外傷性疾患の代表的なものは,肩鎖関節脱臼,肩関節脱臼,鎖骨骨折などである.また,障害性のものは内因性,外傷性のものは外因性とも分けられるようである.
ここではスポーツ外傷,障害のうち,とくに選手に発生しやすい若干の疾患について,理学療法,リハビリテーションを行う上に参考とすべき点を中心に述べてみたい.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.