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先日,突然アメリカから手紙が来た.ある州でリハビリテーションセンターを創設するので,その一員として参加してはどうかという内容のものであった.この種の手紙が時たま私の所に舞い込むのは,かつて筆者がアメリカでリハビリテーション医学のBoard試験を経験したためであろうかと思われる.私がBoard試験のPartⅠを受験したのはもう6年も前で,場所はPhiladelphiaのJefferson医大で行われた.Part ⅡはMayo clinicで受けたが,これはちょうど3年前のことになる.
その日はよく晴れた少し風のある6月初めの土曜日であったが,試験場となったMayo clinicのリハビリテーション部では,いくつかの個室を使用して口答試問が行われた.内容はNeurology,Surgery,Medicineの3部門に分れていて,通常各40分程度であろうか,すべて試験官と1対1の対話の時間である.雰囲気はまことにおだやかで,X線フィルムを中心に話し合ったり,読んだいくつかの論文について意見を述べたりするのであるが,その種類は豊富であった.話題の内容を思い出すと,Neurologyでは脳血管障害の診断と治療,抗凝固剤使用の要点,spina bifidaの合併症,floppy infantの分類,末梢神経炎の種類,Parkinson病と黒質,multiple sclerosisの髄液検査,横紋筋疾患の病理,筋電図とその診断学的価値など.Surgeryではfrozen shoulderの病態生理,頸髄損傷における手の機能と手術の適応,関節リウマチに見られる関節変形に対する手術法の選択,熱傷の治療と装具,Medicineでは肺気腫の病態生理,肺塞栓の診断と治療,脊髄損傷のレベルとADL,自律神経性緊張反応の問題,神経性膀胱の病態生理とその管理,褥創発生のメカニズム,関節リウマチの最近の治療法と薬物の副作用などがあった.
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