特集 授産施設と福祉工場
授産施設の現場から
通所者を加え地域化への方向
志田 栄男
1
1社会福祉法人泉会日の出舎
pp.961-964
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103675
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はじめに
最近の身体障害者授産施設の抱えている共通の問題としては,作業能力の低い重度障害者の増加によって生ずる諸問題である.特に身障法第31条に示されている目的「身体障害者授産施設は,身体障害者で雇用されることの困難なものまたは生活に困窮するもの等を収容し,又は通所させて,必要な訓練を行い,かつ職業を与え,自活させることを目的とする」にかかわる現状とのずれにより,「作業性の低い麻痺者を多く抱え,とても職業を与えるとか自活させることの授産内容は確保維持できたものではない.重度障害者に対応できる目的改訂が必要ではないか」との声もある.全国身障者職業更生施設協議会があり,設置運営要綱の改訂案がまとめられたが,その時,この目的は授産施設の目的そのもので,改訂することなく,改めて評価された.現状の多くの施設は収容保護が精一杯で,授産がそこに加付されかかっていることは,障害を克服して職業更生を目指す障害者にとって不幸なことになる.ここに,自活できる仕事を身につけることのできる授産施設の再現を望むものである.設置目的における,収容で表現される生活の場,必要な訓練,適切なる職業,自活と,すべてに現状のままでは現実性にとぼしい要素が何であるのか,困難な実態をもつ施設として当施設を紹介し,今後への参考になれば幸いである.
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