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はじめに
脳卒中と脳神経外科の出会いは1903年であるといわれている.この年,近代脳神経外科の祖H.Cushingは神経学的診察法だけで,内包出血のために半身不随をきたして高度の意識障害に陥った40歳女性に発作後43時間目に開頭血腫除去を行っている.しかし,本格的結びつきは1927年,E.Moniz(ポルトガル)が脳血管撮影法を創始してからであり,その後,検査法・手術法・麻酔技術の向上進歩などにより,脳神経外科の中で,脳卒中の占める割合は年々増加している.特にわが国においては,脳卒中は死因統計の第1位を占める一大国民病であり,その治療の発展は国民の大きな願いともいえる.
ところで脳卒中の分類には種々あるが,著者らは大きく3群に分けている12).すなわち表1のように,1)出血群,2)硬塞群,3)脳」血管不全群の3群に分けた.なお,脳血管不全群とは脳血管からの出血あるいは狭窄もなく脳卒中をおこすものである.もちろんこの分類には異論も多いとは思うが,このように簡単に考えると治療法も割合すっきりするものである.
さて脳卒中の手術適応について論ずる場合,意識障害の程度あるいはその推移が大きな比重を占めるが,意識ということについても本質的に異なる見解をとるものもあり,意識障害の判定は各研究者・施設によりまちまちであり混乱をきたすことが多い.これに対し脳神経外科領域では,太田らと著者らが合同して提案した意識障害の数量的表現10)(Ⅲ群3段階式,3-3-3方式)を用いている(表2).この分類も種々の問題はあるにせよ,共通の基盤で症例検討を行い得る利点があり,かつ表現方法・観察方法が安易なことによりparamedicalにも正確な意識判定が可能である.
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