ひと
昭和50年度「高木賞」を受賞された国立特殊教育総合研究所長 辻村泰男(つじむら・やすお)先生
小野 勲
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1全国肢体不自由養護学校
pp.155
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103488
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辻村先生は東京帝大心理学科を出られると間もなく,傷兵保護院技師となられ戦傷者の援護事業に従事された.戦後,厚生省児童福祉官として戦災孤児や,心身障害児の養護事業に携わられ,昭和27年から文部省特殊教育室(課)長として特殊教育行政を担当された.当時特殊教育の中で最も遅れている肢体不自由児や精神薄弱児の教育を振興させるため,義務制になっていない養護学校の設置を最大の目標とされた.そのため先生は父母や関係団体と一体となり,日夜の努力を尽され,遂に昭和31年「公立養護学校整備特別措置法」が議員立法として成立した.この法により養護学校は義務教育諸学校と同様に施設建設や職員給与などに国庫負担が得られることになった.このことにより以後毎年各地に養護学校が開設され,44年度に全国都道府県にもれなく肢体不自由養護学校が設置されるに至った.これは全く先生の蔭の援助により法が制定されたことと,その後のご指導によるものであり,肢体不自由教育にお尽し頂いたご功績は私ども忘れることができません.今もなお国立特殊教育総合研究所初代所長として,障害児教育に情熱を注いでおられ,ことある毎にご指導を賜っている.また,先生は穏やかな人格者で,私は未だ先生の怒られたことを知らない.ますますご建康で,いよいよ難しくなってきた障害児教育のご指導をお願いしてやまない.
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