報告
エジプトの総合リハビリテーションセンター企画に参加して
荻島 秀男
1,2
1東京都養育院付属病院リハビリテーション部
2東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部
pp.1012-1014
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103452
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
オイルショックが起るまで一般的に中近東の内情はあまりわが国では報道されていなかったようですし,パレスチナ問題で直接関係がある国々の多くの善良な市民がどれだけ苦しんでいるか身近な問題として考えてもいなかったわが国の政府,商社の御歴々があわてて中近東参りを始めたことに関しては今更言うまでもありません.3回にわたった中近東の戦争で多くの障害者が生まれていることは事実でありますし,人道的立場からもこれらの人々のリハビリテーショコンを真剣に考えなければならないという声が世界各国より起り,その具体化が始められたのがエジプトのリハビリテーションです.
イスラエルは在米ユダヤ系市民の莫大なる援助により一早くリハビリテーションセンター,特別養護老人ホーム等を完成させましたが,エジプトは経済的には国の予算の80%を戦争の費用として計上せざるを得なかったために,必要とはわかっていても,なかなかナセル大統領の時代には,ふみきれなかったということです.3年前にエジプトの厚生省の招待ではじめてカイロに参りました時にリハビリテーションの必要性が十分討議され,その際に招集された委員会にて厚生省の中にリハビリテーション局を独立させる事,エジブト全体のリハビリテーション体系をまとめましたが,望まれていたのがカイロを中心とした総合リハビリテーションセンターでありました.今回はサダト大統領の招待で新しいリハビリテーションセンターの計画具体案作製という目的で再度カイロを訪問致しました.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.