Japanese
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講座
疼痛性疾患の心身医学とリハビリテーション(3)―主として慢性腰背痛と頸椎捻挫後遺症について
Psychosomatic Medicine and Rehabilitation in the Painful Diseases: especially on the Patients with Chronic Back Pain and Sequelae of Cervical Sprain
高口 真一郎
1
,
黒住 孝志
1
,
宮本 裕
1
,
原 靖隆
1
,
市村 文男
1
Shinichiro Takaguch
1
,
Takashi Kurozumi
1
,
Yutaka Miyamoto
1
,
Yasutaka Hara
1
,
Fumio Ichimura
1
1香川労災病院整形外科
1From the Division of Orthopaedic Surgery, Kagawa Labour Accident Hospital.
キーワード:
脊柱外傷後遺症難治化の要因
,
鞭打ち損傷難治例に対する取扱い(OTを含む)
,
疾患に対する心身医学的接近一般と専門的アプローチについて
Keyword:
脊柱外傷後遺症難治化の要因
,
鞭打ち損傷難治例に対する取扱い(OTを含む)
,
疾患に対する心身医学的接近一般と専門的アプローチについて
pp.599-606
発行日 1974年8月10日
Published Date 1974/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103184
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Ⅲ.“いわゆる鞭打ち損傷”難治化の要因とPsychosocialな取扱いについて(腰部外傷後遺症も含む)
1.“いわゆる鞭打ち損傷頸椎捻挫型”新鮮例10症例の検討より
これら10症例はいずれも3~4日以内に入院させて,“ベッド上で1kgの軽いグリソンけん引”と“トイレ・洗面時の頸椎用軟性コルセット(カラー型)の装用”を行わせ,また止血剤,消炎酵素剤,活性ビタミン剤などをルーチンとして投与し,ついで約3週間後に温熱療法と等尺性の頸筋訓練を開始した.また症例3,4,7,9の4例は受傷後1~2週で頭痛・頭重などが強くなったため,精神安定剤・情動調整剤などを投与し,すべて改善をみた.その結果,全例追突事故の被害者(自賠法適用例)であるが,平均37.9日で治ゆ,打切りとすることが出来た(表19).
さて“いわゆる鞭打ち損傷”はwhiplash mechanismによって,筋・靱帯性,血管性,自律神経性および頸神経性,ときには脊髄性の症状を呈するもので,一応頸椎捻挫型,頸神経根症状型,Barré症状型,脊髄症状型および混合型に分類し得るであろう31,32).そして“いわゆる鞭打ち損傷”新鮮例の大半を占める頸椎捻挫型は,初期から創傷治ゆの原則に基づいて,“頸部の比較的厳重な安静固定”と“消炎鎮痛剤などを主体とする薬物療法”ついで“理学療法”を実施し,損傷部位の循環障害や瘢痕形成を防止すれば,上述の症例のように大多数は完治し得るものと考えられる.
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