今月の主題 痛みとその対策
本態のはっきりしない痛み
腰背痛
西 新助
1
1東邦大整形外科
pp.622-623
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206550
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腰背痛は胸部内臓器疾患の関連痛として訴えられるものが少なくないので,それを除外して,整形外科的な立場からみた場合について考えてみることにする.
整形外科を訪れる腰背痛患者ははなはだ多いが,原因疾患の明らかなものは約1/3で,他は確とした原因疾患のわからないもので,症候名である背痛症・腰痛症として取り扱われている.本題はこれについて問題を提起しているものと思う.ところで,このようなものでも痛みの表れ方がそれぞれ異なっており,急速に起こるものもあれば,徐々に起こるものもある.前者に激痛のことが多いが,後者はほぼ鈍痛で,これには種々の起こり方を示すものが多い.たとえば,動作を続けると疼痛が表れ,動けないほど苦しくなるが,安静により軽快するというものや,安静臥床によっても痛みの去らないもの,また,就寝後次第に痛み出し,明け方には苦しくて寝ていられないというのもあって,それぞれ特徴のある起こり方をしているので,原因もまた各々異なっているであろうことが想像される.したがって,痛みの性状や起こり方の特徴をつかむことが原因疾患を求める上に重要なポイントとなろう.
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