講座 検査と診断
胸痛・背痛の診断
依藤 進
1
Susumu YORIFUJI
1
1神戸医科大学内科
pp.368-372
発行日 1964年3月20日
Published Date 1964/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203286
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胸痛,背痛
痛みは一般に動物神経を通じて意識されるか,植物神経を通じて意識されるかのいずれかである.前者は後者よりも進化しているため,痛みの場所を明確に示すが,後者は知覚神経として十分分化していないため,病変の位置を明確に指示することができず,したがつて場所に関しては漠然としているが,そのかわり心理的な要素や記憶によつていろいろに変容され,不安感を伴うことが多い.また後者の場合はしばしば関連痛ないしヘッド帯(Head's zone)が現われる.このことが,胸痛,背痛の原因となつている病巣が植物神経領域(心臓,大動脈,肺血管)にあるか,動物神経領域(皮膚骨,筋肉,肋膜等)にあるかを大ざつぱに識別する示標といえる.
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