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編集後記
土屋 弘吉
pp.1047
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103042
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わが国の医学的リハビリテーションは過去10年の歴史を経て著しい進歩を遂げ,今では欧米の水準に較べてひけをとるものはないといってよいでしょう.しかし実際には,医学的リハビリテーションですでにゴールに達した患者のうち,何%が社会復帰しているでしょうか.障害者のための社会の受入れ態勢が余りにも不備であることはすでにしばしば指摘されているところですが,これには種々の原因が複雑にからみ合っており,一朝一夕に改善されるとは思われません.
このような現状のなかで,3年程前に仙台市の一角から市民運動の形で起こった「身体障害者の街づくり」運動は,地味な,しかし着実な発育を続けて,今では全国各都市に拡がり,国鉄や建設省の道路建設やデパート・公共施設などにも影響を与えはじめております.身体障害者がみずからの手で新しい都市計画の口火を切ったということは,今後の身体障害者運動の方向を示すものとして高く評価されなければなりません.
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