書評
聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部理学療法科 編「理学療法リスク管理マニュアル」
神津 玲
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1長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部
pp.879
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102796
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リスク管理を特に必要とする急性期理学療法の対象者は多岐にわたっている.脳血管障害や整形外科系疾患をはじめ,近年では呼吸器・循環器疾患,侵襲の大きな術後状態,多臓器疾患などの重症患者においても超早期から介入する機会が増加している.このような対象者では,何よりも安全な介入が最優先されるため,「今どのような状態なのか,どのような治療がなされているのか,何が問題なのか」など,対象者の病態を適切に理解,把握することが要求される.しかしながら,急性期医療の現場の進歩はめざましく,必要とされる知識の量は増える一方であり,追いついていけない状況になりかねない.
このたび上梓された「理学療法リスク管理マニュアル」は,このような臨床家のニーズに見事に応えてくださった待望のマニュアルである.本書の気配りの効いた構成と内容はユニークかつ実践的であり,臨床現場での問題解決に役立つマニュアルであると断言できる.内容は脳血管障害,循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,さらには加齢と転倒というタイムリーな章を加えた構成となっており,それぞれ「疾患概念」,「特異的リスクとその管理の実際」,「多臓器・他疾患との関連」という項目で統一されている.「多臓器・他疾患との関連」では高度で難しい内容もあるものの,必要な知識が網羅され,全体としては懇切丁寧で読みやすい.
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