書評
―聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部/理学療法科 著―「理学療法リスク管理マニュアル」
内山 靖
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1群馬大学医学部保健学科理学療法学専攻
pp.722
発行日 2005年8月15日
Published Date 2005/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102516
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先日の第40回日本理学療法学術大会では1,200題を超す研究演題が発表され,加速化する高齢社会を反映して健康維持や介護予防に関する1次予防の重要性とともに,地域に密着した在宅・訪問理学療法の拡充が期待されています.一方で,急性期医療の重要性はいささかも揺らぐことはなく,むしろ,超急性期から安全かつ安心できる理学療法を提供して生活機能に選択の幅と可能性を広げることが理学療法士の重要な使命といえましょう.
このような中で,今般,三輪書店から「理学療法リスク管理マニュアル」が発刊されたことは誠に時宣を得た意義深いものと感じています.本書の筆者である聖マリアンナ医科大学リハビリテーション部は,以前から呼吸・循環・代謝領域の理学療法で先駆的な取り組みをしている施設の一つで,学術大会の発表や論文で多くの成果を報告されています.また,全国の理学療法士に対する教育・啓発活動として,15年前から「理学療法におけるリスク管理」の研修会が続けられています.リスク管理とは,ハイリスク状態での対処方法のみならず,潜在的な危険を察知して安全な治療・生活環境を設定する予測行動,最も効果が高い危険帯域での安全な理学療法の実施を保証する要素を包含したものでなくてはなりません.本書は,まさにこの3つの要素が余すことなく含まれている良書といえましょう.
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