書評
五十嵐隆,大薗惠一,高橋孝雄 編「今日の小児診断指針 第4版」
横田 俊平
1
1横浜市立大学発生成育小児医療学
pp.215
発行日 2005年3月10日
Published Date 2005/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102773
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小児患者に接するあらゆる場面で役に立つ
最近の合計特殊出生率は1.29にまで落ち込み,少子化対策は待ったなしの状況にあるが,この事態は母親から子育ての経験がどんどん奪われていることを示しており,その分,小児科医が子育て支援に大きくかかわる状況を生んでいる.したがって,小児科医の“質の向上”が期待される世の中となり,小児医療は学問的にも実践的にも身近な症候から病態,診断を探し当てていく姿勢と,一方で高次先端医療に必要とされる知識,医療技術を身に付けていく姿勢との両方が求められるようになった.
学生や研修医が小児科学の膨大な知識をすべて吸収することは不可能である.教育の場で成し得ることは,診察技術を徹底して身に付け判断の足場を確立させること,病態の説明を論理的に行いその論理に普遍性をもたせること,細かな知識ではなく曖昧な所見や情報からおおづかみに疾患の流れる方向を把握し,その流れから疾患の細部へ攻め込む能力を磨いていく姿勢を培うこと,などかと考えている.
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