書評
小澤 勲・土本亜理子 著「物語としての痴呆ケア」
藤谷 順子
1
1国立国際医療センターリハビリテーション科
pp.1174
発行日 2004年12月10日
Published Date 2004/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102763
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著者によると,本書は前著書「痴呆を生きるということ」(岩波新書)の続編であり,そこで「書ききれなかった」「痴呆ケアの技術面」を書いたものであるという.筆者はたまたま前著の読者であるが,この本は,前著をお読みでない方にも十分お勧めできる.
リハビリテーション関係者として嬉しいのは,著者が,「痴呆ケア」のあるべき姿をリハビリテーションになぞらえて描いているところである.著者によれば,リハビリテーション学においては,さまざまな障害をもつ各個人に対して,個別の計画,実践,評価,方法を選択するための膨大な知識の蓄積があり,専門職も存在していて,例えば歩行障害があれば,それに対して適切な杖なり補助具が処方される.それと同様に,痴呆の症例についても,痴呆によってもたらされる各障害を評価し,対応し,残った障害に対しては「知的補助具」を提供するところまで痴呆ケアというものを到達させたい,と述べている.
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