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編集後記
川
pp.212
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102392
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作家の水上勉氏が「拝啓池田総理大臣殿」を中央公論に発表したのが昭和38年.自身も障害児の親である水上勉氏はこの書簡の中で,自分が今年支払った税金が1,100万円なのに対し,政府からの島田療育園への補助金は昭和36,37年あわせてたったの1,000万円であると,福祉行政への怒りを訴え,このことにより,重症心身障害児の福祉への世間の関心が一気に高まったそうです.「重症心身障害児」という言葉をこれまで耳にしたこともなかった人々に知る機会を与えたことに大きな意味があったのでしょう.私たちは「知らないこと」に関心を持ちようもありませんし,想像することもできません.世論の高まりは政府を動かす力があります.しかし一方で世論は冷めやすいのも事実でしょう.
東日本大震災の被害の様子は日本中に報道されています.この震災では生まれて初めてボランティアに参加した,初めて募金をしたという人が多いそうです.そして,復興への世論の関心はいまのところまだ冷めていないようです.
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