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編集後記
川
pp.498
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200252
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1号の編集後記のリクエストに二通先生が応えてくださいました.「困っている相手に恥をかかせることなく,さりげなく助け,決して自分の善行をひけらかさない」.侠気の文化こそ障害者問題解決に通じる—「障害者問題解決論の中心思想は健さん映画にあり」.だいぶ前にここでご紹介したドラマ「男たちの旅路—車輪の一歩」のセリフを思い出しました.吉岡司令補(鶴田浩二)は車椅子の青年(斉藤洋介)にいいます.「君たちに迷惑をかけることを恐れるな,といいたいような気がしている」そして続ける「これは私にも意外な結論だ」.司令補の出した結論は「人に迷惑をかけるな」というルールが君たち(障害者)を縛っているということ.電車に乗るにも何をするにも,誰かの世話にならなければならない障害者は,迷惑をかけまいとすれば,外に出られない.ならば,迷惑をかけてもいいんじゃないか,むしろかけるべきではないか—.健さん映画と山田太一ドラマ.根底に流れる思想は似ている気がしました.
決して自分の善行をひけらかさない……ごくたまに編集後記を褒められたりすると,「それ書いたの私!」と言わずにいられない私はまだまだですね.
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