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はじめに
認知症の存在は,わが国の急速な人口高齢化に伴い,リハビリテーション医療においても無視できないほど大きくなっており,早急な対応が迫られている.わが国では65歳以上の地域住民の3.8~11.0%に認知症を認め,高齢になるほど有病率は増加する1).認知症の原因疾患ではアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)が約3分の2と最も多く,次いで血管性認知症(vascular dementia;VaD)であり,両者を合わせると約8割を占める.変性疾患では,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)がADに次いで2番目に多く,他には前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)などがある.その他の原因としては,頭部外傷,特発性正常圧水頭症,脳に影響する全身疾患などさまざまな疾患がある.
リハビリテーション医療においても,合併症のため全身状態が不安定な患者が増えているが,認知障害を合併している例が目立つようになってきている.これまでリハビリテーション医学領域の運動障害に対する介入研究では,その多くが認知症の合併を除外基準に入れているが,Mini-Mental State Examination(MMSE)の点数のみで脳卒中急性期のリハビリテーション医療の対象から除外すべきでないとする報告もされてきている2).臨床においてもリハビリテーション医療によって認知症を合併した患者のactivities of daily living(ADL)介助量が軽減することはよく経験する.しかし,認知症を合併した患者は,リハビリテーションの教示に従えないだけでなく,いわゆる「問題行動」によって,リハビリテーションに難渋することが多い.したがって,このような患者に対してリハビリテーションプログラムを立案・実践するためには,認知症の鑑別診断を行うことと,「問題行動」を正しく評価し,理解することが必要である.
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