Japanese
English
増大特集 リハビリテーションQ&A
Ⅱ 脳卒中,その他の脳疾患
16.認知症とリハビリテーション
Fundamental knowledge of dementia and rehabilitation approaches for patients with dementia.
田中 尚文
1
Naofumi Tanaka
1
1東北大学大学院肢体不自由学分野
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Tohoku University Graduate School of Medicine
キーワード:
認知症
,
せん妄
,
行動心理学的症候
,
リハビリテーション
Keyword:
認知症
,
せん妄
,
行動心理学的症候
,
リハビリテーション
pp.524-529
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102485
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
わが国の高齢化率(総人口に対する65歳以上の高齢者人口の割合)は急速に上昇しており,23.1%(2010年10月1日現在)に達している.今後も総人口が減少する一方で,高齢者が増加し,高齢化率は上昇を続け,2055年には40.5%に達すると推計されている1).認知症の有病率は,わが国の65歳以上の地域住民において3.8~11.0%であり,高齢となるほど増加する2).リハビリテーション医療においても,対象患者の高齢化とともに合併する認知症の存在は無視できないほどに大きな問題を生じてきており,早急な対応が必要である.認知症を合併した患者は,リハビリテーションに参加したり,リハビリテーションの教示に従ったりすることが困難であるだけでなく,いわゆる「問題行動」があることによって,リハビリテーションに難渋することも多い.一方で,認知症を合併した患者であっても日常生活動作(activities of daily living;ADL)介助量が多少なりとも軽減することはしばしば経験する.これまでリハビリテーション医学領域の運動障害に対する介入研究では,その多くが認知症の合併を除外基準に入れているが,Mini-Mental State Examination(MMSE)の点数のみで脳卒中急性期のリハビリテーション医療の対象から除外すべきでないとする報告もされてきている3).今後は,認知症患者のADL障害に対するリハビリテーションの治療戦略が確立していくことが望まれる.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.