Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「カルメン故郷に帰る」―今ならADHD讃歌ムービーとして見直すことができる
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.297
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102017
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ADHD(注意欠陥多動性障害)という医学用語の登場は,米国精神医学会が1980年に作成した診断基準(DSM-Ⅲ)に遡るが,わが国で一般に知られるようになったのは,『片づけられない女たち』などの書物が世に出て,メディアで自助グループ結成の動きが伝えられるようになった十年ほど前である.しかし,ADHD系の人は昔からいたのであり,ここは,往年の名作からその存在を確認してみよう.
木下恵介監督と言えば,名作を連打するだけでなく,手法上でも先駆け的な仕事をすることで有名だった.そのなかに日本初の総天然色長編劇映画「カルメン故郷に帰る」(1951年)がある.私の生まれた年に作られたものであり,私同様,本作もまた還暦を迎える.
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