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筆者は神経内科医,精神科医,リハビリテーション医として30数年,主として脳血管障害,パーキンソン病,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病や,うつ病,認知症などの疾患の診療に携わってきました.
1990年,当院に老人保健施設を併設した頃より,認知症(特に,アルツハイマー病)の高齢者が外来を訪れることが多くなり,現在までアルツハイマー病の診療に特に重点的に携わっています.アルツハイマー病は,物忘れに始まり,BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia:認知症に伴う行動と精神症状)として,幻覚,妄想,徘徊,不眠,うつ状態,暴言,暴力行為などの症状を起こし,さらに進行すると,四肢運動障害,言語・嚥下障害などを合併します.このようなアルツハイマー病高齢者に対して,老人保健施設への入所,デイケア(通所リハビリテーション),心理療法,リハビリテーション治療,介護者相談などを行ってきました.しかし,当院,および老人保健施設だけでは,治療・ケアに限界を感じ,認知症治療病棟を有する精神科病院,長期療養病院・施設などとの連携が必要となりました.そこで,1994年に精神科医,リハビリテーション医,内科医,保健師,看護師,介護福祉士,医療ソーシャルワーカー,呆け老人を抱える家族の会(現在,認知症の人と家族の会に変更)などに呼びかけ,松戸認知症研究会を立ち上げ,講演会,勉強会を開催しました.この会は,1997年に千葉認知症研究会となり,現在も研究会を続けています.2009年3月には,認知症診療における救急病院,精神科病院,リハビリテーション病院の医療連携を目的とした千葉県認知症対策推進協議会が発足しました.同年4月には,介護報酬で認知症リハビリテーションが導入されました.
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