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編集後記
吉
pp.692
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101560
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先の6月4日~6日,静岡で行われた日本リハ医学会での特別講演「宇宙飛行とリハビリテーション」は宇宙飛行士の向井千秋氏によるもので,興味深く拝聴しました.重力のない環境では,筋力低下や内部障害など,廃用症候群に似た症状が起こり,地球に帰還すると精神・身体だけではなく,職場復帰などを含めて元の生活に戻るためにさまざまなリハビリテーションを必要とするそうです.また,船内では宇宙飛行士の国や人種よりも職種による「文化」の違いが大きく,それを乗り越えて協働していく点も,多職種協働が行われているリハビリテーションとの共通点かもしれません.向井氏は,価値観を大きく変えるような経験をしたくて宇宙飛行士になったのだそうです.実際に,地球に戻った直後は名刺1枚の重ささえ感じるなど,重力のある当たり前の環境から離れることで,今までにない感覚をもてたそうです.「青い鳥は青いフィルターを通しては見えない.フィルターを取り除かないと大事なことは見えてこない」という言葉がとても印象的でした.しかし,人生修行の足りない私は取り除くべきフィルターが何なのか,まだ分かりません.
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