連載 印象に残ったリハビリテーション事例
経口摂取のため喉頭摘出術を選択した多系統萎縮症患者
松尾 雄一郎
1
1北海道大学病院リハビリテーション科
キーワード:
多系統萎縮症
,
喉頭摘出術
,
経口摂取
Keyword:
多系統萎縮症
,
喉頭摘出術
,
経口摂取
pp.576-578
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101535
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多系統萎縮症(multiple system atrophy;MSA)は,病理学的に共通した病変があるオリーブ核橋小脳萎縮症(OPCA),線条体黒質変性症(SND),Shy-Drager症候群(SDS)の総称です.私は現在,リハビリテーション科医として勤務しているが,約14年前に神経内科医を目指して京都府立医科大学で医師生活のスタートを切りました.研修医となって間もなく,一人の中年女性患者Aさんを受けもつことになりました.手が振るえて動作緩慢なAさんの診断名はSND,現在のMSA-P(パーキンソン型)でした.これが私のMSA患者との最初の出会いでした.Aさんは薬物治療を行いましたが,十分な効果が得られず,何度も「何とか動けるようにして欲しい」と言われたことを,今でも覚えています.その5年後,私はリハビリテーション科医を目指して北海道へ来たので,その後のAさんの経過についてはわかりませんが,北海道に来て間もなく,手が振るえ,歩行時に足を引きずるという一人の中年男性Bさんが外来に紹介されてきました.Bさんは現在も元気に外来通院しており,今回,Bさんの経過とともにさまざまなエピソードを紹介したいと思います.
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