連載 りれー随筆・158
一本の幹から枝棄を伸ばすということ
大久保 ちづ子
1
1国立大蔵病院南病棟
pp.990-991
発行日 1997年11月25日
Published Date 1997/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901827
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20代の私
私は看護婦になって9年目,助産婦になってからはまだ半年しかたっていません。看護婦になったきっかけは,「女性もこれからの時代は手に職を」といった母の強い薦めでした。
はじめ看護の勉強はとても楽しかったのですが,いつも「もっと自分に合った職業があるのでは」と思っていました。看護婦になることから逃げていた私は,実習に出て患者さんとかかわるようになると,どうしていいかわからなくなりました。何とか無事卒業まではたどり着いたものの,看護婦として働く自信はなく,短大卒業時に母に,「もうやめたい」と言いました。すると母は「いいよ」と簡単に言い,そして「人生どこに行っても同じようなことの繰り返しだから,やらないうちから諦めていたら多分何をやっても同じだと思うよ」とポツンと言いました。選択の余地のない言い方をされたものの,かえって「1か月やってダメならやめればいい」という開き直った気持ちで看護婦となりました。
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