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心臓リハビリテーション(cardiac rehabilitation)に長年携わってきて,このことばの裏に隠された幅広い意味を考えている.欧米の心臓リハビリテーションに関連する学会や学術誌には,必ずと言っていいほど予防(prevention)ということばが加えられている.例えばAACVPR(American Association of Cardiovascular and Pulmonary Rehabilitation)の学術誌であるJCR(Journal of Cardiopulmonary Rehabilitation)は今年になってJCRP(Journal of Cardiopulmonary Rehabilitation and Prevention)という名称に変更になった.また,ドイツの心臓リハビリテーション関係の主要学会であるDGPR(Deutsche Gesellschaft für Prävention und Rehabilitation von Herz-Kreislauferkrankungen e. V.)には,すでに prevention という語が入っている.このように,心臓リハビリテーションには予防というアプローチが非常に重要であることがわかる.この予防には,心臓病の再発予防(二次予防)のほかに,動脈硬化性疾患の発症予防(一次予防)も含まれていることに注目すべきである.
リハビリテーション領域では,後療法ということばをよく耳にする.しかし循環器分野の医師たちの間では,この後療法ということばを聞いたことがない.このことばを聞くと,主体は手術治療または急性期の侵襲的治療であり,リハビリテーションはその後に補足的に行うものであるという印象を受ける.リハビリテーションは,後に行う付け足しの医療では決してなく,予防を含めた攻めの医療であることを強調すべきであるし,このことは心臓リハビリテーションの考え方そのものである.
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