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はじめに
上肢機能を評価するための検査は,国内外で数多く使用されており,一般的なものから特定の疾患を対象とするものまで多岐にわたる.上肢は,物に手を伸ばす(reach),つまむ(pinch),つかむ(grasp),離す(release),運ぶ(move),定置する(position),押す(push)など多彩な働きをもつ.そのため,上肢機能評価には,あらゆる要素が関係し,その評価はさまざまである.
上肢を障害像の観点からみると,麻痺や可動域といった「機能障害レベル」と,FIM(Functional Independence Measure)やBI(Barthel Index)の上肢動作に関連する項目で表されるADL(activities of daily living)障害,つまり「能力低下レベル」に二分できる.しかし,上肢の機能・役割は上記にとどまることなく多様であり,また課題を遂行するのに要する時間やパフォーマンスも評価する必要がある.
生田ら1)は上肢機能検査を,①生産性をみるための検査〔簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function;STEF),手指機能指数テスト(Finger Function Quotient Test ;FQテスト)など〕と,②上肢の働きそのものをみる検査(関節可動域テスト,動作軌跡のコンピュータ処理など)とに分類している.また外里2)は,①一般的な上肢機能テスト(握力検査,Jebsen-Taylor Hand Function Test,Purdue Pegboard Test,Minnesota Rate of Manipulation Test;MRMT,O'Connor Finger Dexterity Testなど),②片麻痺を固有の対象にする検査(Brunnstrom Test,上田による片麻痺機能テスト,脳卒中上肢機能検査,Stroke Impairment Assessment Set;SIASの下位項目など),③職業能力としての上肢機能検査(厚労省の一般職業適性検査など),④作業動作の向上を目的としたもの(MODAPTS法など),⑤乳児の発達段階における上肢機能検査(運動発達年齢検査,遠城寺式乳幼児分析的発達検査法など)に分類している.このように,上肢機能はどの機能に焦点をあてるかによって,分類法や検査内容が大きく異なってくる.
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