Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「プライドinブルー」―障害者スポーツは障害受容・自分受容に連動する
二通 諭
1
1石狩市立花川南中学校
pp.941
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101047
- 有料閲覧
- 文献概要
障害者スポーツを扱った作品をおさらいすると,邦画では「遙かなる甲子園」(聴覚障害:野球),「風の歌がきこえる」(聴覚障害:トライアスロン),「夢 追いかけて」(視覚障害:水泳),「ウィニング・パス」(身体障害:バスケットボール),「アイキ」(身体障害:合気道)ということになる.知的障害となれば韓国の「マラソン」,アメリカの「僕はラジオ」といったように海外に目を転じなければならない.もちろん,ドキュメンタリーでは知的障害者のオリンピックであるスペシャルオリンピックスのアスリートを被写体とする「エイブル」という秀作があったが,スポーツというよりもアメリカでのホームステイ生活にカメラを据えた,障害+外国という二重の意味での異文化交流ものであった.
「プライドinブルー」(監督/中村和彦)は,2006年にドイツで開催された国際知的障害者スポーツ連盟サッカー世界選手権大会に出場した日本の代表選手を追いかけたドキュメンタリーである.全国からどんなメンバーが集まり,各国との戦いぶりはどうであったのかということにたっぷり時間を割いていることから,メインテーマは“知的障害者サッカーのいま”であることは間違いない.それでもなおサブテーマとでも言うべき本人たちの内面生活がせりあがってくるところに本作の真骨頂がある.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.