巻頭言
運動器リハビリテーションにおける物理療法の新展開
星野 雄一
1
1自治医科大学整形外科
pp.847
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101031
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呼吸器,循環器などの場合と同様に,運動器障害に対する治療法は外科的治療と保存的治療とに大別される.外科的治療は脳であれば脳神経外科が,四肢・脊椎であれば整形外科が中心的役割を担っている.運動器の保存的治療としては,薬物療法・ギプス固定などの整形外科的処置・装具療法などと並んで,運動器リハビリテーションが果たしている役割は大きい.わが国で実施されているリハビリテーション総件数の70%は,運動器リハビリテーションなのである.運動器リハビリテーションの方法としては,主に運動療法と物理療法とに分けて考えることができる.
EBM(evidence-based medicine)という観点から医学全般の見直しが行われている潮流のなか,経験的に行われてきた運動器リハビリテーションには明確な根拠を欠くものが多く,その効果を実証する高水準の臨床研究の必要性が強調されてきた.その結果,運動療法に関しては,変形性膝関節症に対して大腿四頭筋強化運動が,慢性腰痛症に対して腰痛体操が,いずれも高い有効性を示すことが全国規模でのRCT(randomized controlled trial)により実証されたことは記憶に新しい.この成果を提示することにより,運動器リハビリテーションの有効性が当局にようやく認知されたのである.
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