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2006年4月の診療報酬改定に続いて,再びリハビリテーション医療におけるその改定が予定されている.厚生労働省は,「日数制限はおおむね妥当」としつつも,日数制限の対象から外す疾患を設けたり,維持期も医療でリハビリテーションを受けられるようにするなどの見直しをする方針である(2007年3月現在).その内容をみても,前回の改定においては介護保険などの受け皿が不十分なままリハビリテーション医療の打ち切りだけが進んだことに問題があったことに間違いはない.ただ,今,制度の問題が主に取り上げられているが,大きな問題が医療側にも存在する.
ある程度予想はしていたが,昨年の改定以後は,制度を理由に目的を果たさないままリハビリテーション治療が打ち切られ,その継続を希望して来院する患者さんが増えた.彼らが治療を受けた病院は,もちろんリハビリテーション科を標榜している.すべての医療は制度に則って行われるべきであろう.それによってさまざまな制約は受けるが,医療において自分達の役割を果たすこととは次元の異なる話である.急性期,亜急性期,あるいは慢性期のリハビリテーション医療のいずれに携わろうとも,最終的に患者さんの社会復帰を目指すことには違わないはずである.リハビリテーション医はそのための道筋をしっかり立てて,彼らに方向性を示す必要がある.制度が不十分であればあるほど,リハビリテーション医療に携わる医師の役割は重要になる.私どもは,昨年の診療報酬改定後も高い志をもって,「リハビリテーションが必要な患者さんには,それを提供する」ことを原則としてきた.とくに介護保険の対象とはならない将来まだ夢多き40歳未満の方には,リハビリテーション医として何とかしなければならないといった気持ちでいっぱいである.リハビリテーションセンターとしての役割を考えると,それが生き残りの手段でもあろう.
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