巻頭言
リハビリテーションは医療そのもの
米満 弘之
1
1医療法人寿量会熊本機能病院
pp.611
発行日 2003年7月10日
Published Date 2003/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100792
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約40年前の日本のリハビリテーション医学・医療は障害をターゲットとしてスタートした.当時リハビリテーションは,いわゆる機能障害からくる能力低下,それによる社会的不利の解決のために,教育的リハビリテーション,職業的リハビリテーション,社会的リハビリテーション等として広く展開されてきた.
その頃,筆者は整形外科医として,四肢欠損・切断に対する新しい義肢の開発に取り組んでいた.厚生省と科学技術庁は,サリドマイド系薬物を原因とする上肢欠損児に対して,駆動義手,特に電動義手の研究班を結成し,筆者もその研究員として人工手の研究を行ったりした.しかし人の手により近い義手を試作すればするほど,逆に機能的には本当の手から遠くなっていくというのが実感であった.また外傷による四肢切断では,初期治療がしっかりなされていれば切断しなくてよかったのでないかと思われるような症例も多く経験し,さらに,切断肢の再接着が可能になればという願いは筆者を救急医療へも目を向けさせるようになった.このようにして筆者は,四肢切断・指切断の再接着を救急の第一線で取り組むMicrosurgeonでもありながら,義肢研究も手がけるリハビリテーション医でもあったわけである.それとは逆に,連日脳の手術に明けくれていた最前線の脳外科医が,障害を残した患者の行く末を考えてリハビリテーションの必要性を痛感し,リハビリテーション医になられた方を何人か知っている.
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