Japanese
English
特集 リハビリテーション医療の費用と効果
医療経済学の基礎知識
Introduction to health economics.
髙山 一夫
1
Kazuo Takayama
1
1福井医科大学医学部経済学
1Department of Economics, Fukui Medical University
キーワード:
医療経済学
,
市場の失敗
,
保険経済学
,
臨床経済学
,
社会的費用
Keyword:
医療経済学
,
市場の失敗
,
保険経済学
,
臨床経済学
,
社会的費用
pp.507-513
発行日 2003年6月10日
Published Date 2003/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100775
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経済学と医療経済学
経済学は,ごく抽象的には,生産,分配,交換,消費といった経済過程の分析を通じて,人間社会の再生産の仕組みや動態を明らかにする学問である1).経済学の主たる考察対象は資本主義的な市場機構であるが,経済のグローバル化とともに途上国の飢餓と貧困が深刻の度合いを深めるなど,市場機構の意義と限界が改めて問い直される状況にある.
市場機構とその代替案をめぐる経済学的な考察は,政策選択2)ないし価値判断と無関係ではありえない.例えば,抗ウイルス薬に対するTRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)交渉では,巨額の研究開発費に対する対価の支払を要求する立場と,途上国の感染症対策に重きをおく立場との間で,抜き差しならない対立がある3).医薬品の頒布が市場価格と医学的ニーズのどちらに基づくべきかという医療経済学的な問題は,価値判断抜きで答えられるものではない.
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