Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
聖隷三方原病院は病床数770床の総合病院である.当院では入院早期から医師,言語聴覚士,栄養士,看護師などからなる嚥下チームにより摂食・嚥下障害へのアプローチを行っている1).2001年6月,病院内に嚥下チームの一員として,新たにリハビリテーション科内に歯科を開設した.その結果,入院患者の歯科治療および口腔ケアの充実,さらには摂食・嚥下障害に対するアプローチの手法が広がった.当院における歯科の業務内容を,具体的な症例と実績を挙げて紹介する.
当院における歯科依頼のシステム
当院における歯科依頼のシステムを図1に示した.対象患者は基本的に入院患者のみであり,医師もしくは看護師の依頼に応じ歯科初診となる.歯科治療途中に退院となった場合は,そのときの状態によって近医歯科に紹介する等の対応をしている.
歯科の活動状況
当院で行われている実際の歯科業務内容を紹介する.
1.リハビリテーション科の一部門,嚥下チームの一員としての歯科
1)摂食・嚥下障害患者に対する歯科的アプローチ
①舌接触補助床(Palatal Augmentation Prosthesis;PAP)2)(図2)
摂食・嚥下障害患者のなかで特に口腔期が悪い患者がいるが,そのような患者には,口唇や舌の機能を評価しながら義歯を作製する必要がある.PAPと呼ばれるこの床の形態的特徴は,床口蓋部の厚みが大きいことである.舌の運動不全を床の厚みで補い,食塊の送り込みや舌アンカー機能を改善することが目的である.患者の舌可動域に合わせた厚みを持たせる必要があるが,その厚みを決定する際に嚥下造影,超音波や鼻咽腔内視鏡による検査が大変役立つ.従来,PAPは口腔腫瘍術後の後遺症などの器質的要因に対し作製されていたが,当院では脳血管疾患後遺症などの機能的要因に対しても作製しており,効果が得られている.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.