特集 病院における歯科
わが国における病院歯科の現況
阪口 英夫
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1医療法人尚寿会 大生病院 歯科口腔外科
キーワード:
病院歯科
,
口腔ケア
,
歯科診療科運営
,
歯科医師の専門性
,
歯科衛生士
Keyword:
病院歯科
,
口腔ケア
,
歯科診療科運営
,
歯科医師の専門性
,
歯科衛生士
pp.785-789
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102370
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医科と歯科は同じ医療分野であるにもかかわらず,その教育体系が医学部と歯学部に分かれていることにより,一般的にも違った分野として捉えられている.医師や看護師は医科疾患の治療のためにあり,歯科医師や歯科衛生士は歯科疾患の治療のためにあるという考え方である.しかし,歯や口腔は,同じ身体に存在する器官であり,医科疾患においてもその回復や治療に重要な役割を示すことが知られてきている.特に高齢社会を迎えたわが国における多くの研究は,口腔機能維持や口腔ケアが健康寿命の伸展を促すだけでなく,医科疾患の合併症予防にも効果があることを示してきた.これらの報告を基に,口腔機能や歯科の活動について興味を示す医師や看護師が増えている.
一方,歯科医療サービスを担う歯科医師や歯科衛生士の多く(90%以上)は,医科との接点がほとんどない一般歯科診療所に従事している.そのため,歯学部では一般歯科診療所における歯科医療を中心に据えたカリキュラムによって教育が行われ,医科歯科協働について教える機会はあまりなかったというのが今までの状況である.しかし,高齢社会を迎え,歯科医療サービスの提供対象は確実に広がってきており,要介護高齢者を含む障害者であっても,一般歯科診療所の対象となる時代がやってきたことを背景に,歯学部教育も医科歯科連携を見据えた教育方針に転換を始めている.
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