一頁講座 障害児の日常生活用具
聞く(補聴器)
高橋 秀寿
1
,
佐藤 裕子
1
1国立成育医療センターリハビリテーション科
キーワード:
難聴
,
ビー形補聴器
,
イヤーモールド
Keyword:
難聴
,
ビー形補聴器
,
イヤーモールド
pp.997
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100653
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新生児期にAABR(Automated Auditory Brainstem Respnse,聴性脳幹反応)などの聴覚スクリーニングの実施によって,生後1~4か月で難聴と診断され,首がすわる3~4か月には,補聴器の使用を開始される例も見られるようになった.適切な補聴器の適合および(リ)ハビリテーションは,難聴児の言語能力の獲得だけでなく,発達全体に好影響を及ぼす.
乳幼児では,耳掛形補聴器を外装イヤホン出力に改造したベビー形補聴器(図)が主に使用されている.乳幼児は動きが激しいので,補聴器の脱落の可能性が高く,高度難聴の場合に,音漏れがするとハウリング(ぴーぴー音)して不快であるため,その子の耳の形に合わせて作るイヤーモールド(耳型耳栓)を作製することが多い.イヤーモールドには,シェル,フルシェル,カナル,セミカナルなどのタイプがあるが,図左にはフルシェルタイプのものを示した.補聴器本体(図右)とイヤーモールドはRコードで接続し,補聴器本体はワッペンなどに付け,肩の付近に安全ピン等で固定するが,うつぶせやズリ這い,寝返りなど体の動きや姿勢に応じて,その都度補聴器の位置を付け替えてやることが簡単にできる1).周波数特性と音響利得の選択は,想定された聴力レベルの半分よりも5~10dB小さめという目安で音響利得を決める.成人の場合とは異なり,仮選択した補聴器がよく適合している保証はないので,評価と調整を繰り返す過程が重要である.さらに,家庭での音に対する反応や発声の変化について母親から得た情報や,耳鼻科スタッフによる観察をもとに根気よく再調節を行う.
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