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はじめに
呼吸器疾患のなかで慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)はその罹患率,死亡率を上昇させ続けている.WHOは現時点でCOPDを全世界での死因の第6位に挙げ,これが2020年には第3位になるであろうことを予想している.日本でもその潜在罹患人口は530万人にものぼるとされており1),この疾患によるADL(activities of daily living)やQOL(quality of life)の低下が危惧されている.
このような状況を阻止するためにさまざまな試みが行われているが,なかでも呼吸リハビリテーションは,2001年発表されたGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)ワークショップレポートにおいて「全てのステージのCOPD患者に対して有益で,運動耐用能,および呼吸難,疲労感などの症状改善が得られる」2)として推奨され,世界で広く施行されている.その流れを受けて,日本でも2003年7月,日本呼吸管理学会・日本呼吸器学会・日本理学療法士協会が合同で呼吸リハビリテーションについてのガイドラインを発表した3).これにより,国内におけるリハビリテーションについての標準化がなされ,今後さまざまな検討がなされるであろうことが期待される.
ただし言い換えれば,今ようやく呼吸リハビリテーションがその産声をあげたとも言えるわけであり,今なお,国内での呼吸リハビリテーションの必要性に対する意識は立ち遅れているのが現状である.今後その地位を確実なものとしていくためにも,さまざまな試みを積極的に施行していく必要がある.
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