脊髄円錐，馬尾障害の症候

Symptomatology of conus medullaris syndrome and cauda equina syndrome.

はじめに

　下肢の弛緩性運動麻痺，感覚障害，排尿排便障害を引き起こす病変としては，腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症による馬尾障害，神経根障害が最も多い．しかし，脊髄下端部である円錐部（S3髄節以下），円錐上部（L4～S2髄節）の病変によって馬尾障害と類似した症候を呈する場合があり^1-4），しばしば臨床診断上の落とし穴となる．本稿では，脊髄下端部の脊椎との位置関係を示し，次いで円錐上部障害，円錐部障害，馬尾障害の症候を概説する．