Japanese
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特集 装具―最近の話題
上肢装具
Review of upper limb orthosis.
古川 宏
1
,
古川 裕之
2
Hiroshi Furukawa
1
,
Hiroyuki Furukawa
2
1神戸大学医学部保健学科
2神戸大学大学院医学系研究科
1Kobe University, School of Medicine
2Kobe University, School of Medicine Post Graduate Course
キーワード:
上肢装具
,
最近の傾向
,
材料
Keyword:
上肢装具
,
最近の傾向
,
材料
pp.909-914
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100188
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はじめに
上肢装具については残念ながら目立った進歩はみられない.しかし,市販品の装具の普及,熱傷・スポーツ用・スポーツ外傷用上肢装具等,外国ではポピュラーであったものがわが国でも普及した点,材質の進歩,上肢装具を利用した評価・訓練機器等のバイオメカニクスの普及等が最近のトピックスと言える.本稿では,① 最近の傾向,② 新しい上肢装具の紹介,③ 材料の問題について解説する.
上肢装具が下肢装具に比べて使用頻度が少ない理由としては以下のことが考えられる.下肢装具は歩行という目的のため体重支持しながらしっかり押さえつけて下肢を支持し,装具を装着することによって歩行・歩容にメリットがある.それに対し上肢装具では,肩関節部分で上肢をぶら下げながら支持,固定し,矯正,運動の代償等の目的で装着するので装具自体が重量負荷となり,さらに手の巧緻性,把握機能,認知機能と関係するので,小型,軽量,および精密な機能性を要求される.これらの要求すべてを満たす上肢装具の作製は難しいのでメリットが少ないと判断され,その結果,使用されないというのが大きな理由と言える.しかし,目的と期間を限定し,十分なオリエンテーションを行い,患者がたとえ一部の制限があってもそれ以上のメリットを納得して使用すれば,上肢装具の有用さを得ることができる.そのためには,装具の形態,適応性が良いことに加え,装着前後の訓練が重要である.
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