書評
—伊藤俊一(監修),仙石泰仁,遠藤達矢(編集)—「—<PT・OTのための測定評価シリーズ> 3—MMT—頭部・頸部・上肢 第3版/—<PT・OTのための測定評価シリーズ> 4—MMT—体幹・下肢 第3版」
森山 英樹
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1神戸大学生命・医学系保健学域
pp.1119
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203193
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理学療法士は日常的にMMTを行います.しかし,ちゃんとできていると自信をもって言える人がどのくらいいるでしょう.というのも,MMTは簡単ではないと思うからです.段階4での抵抗の中等度は曖昧で,主観に依るところが大きいのは,その最たるものです.ほとんどの方が学んだMMTの教科書—Danielsらの徒手筋力検査法は,第6版でのメイクテストからブレイクテストへの大きな転換をはじめ,信頼性や妥当性を高める方向で版を重ねてきたように思います.
本シリーズ監修者の伊藤俊一先生は,長年,日本の理学療法の標準化に心血を注がれています.本書を含む「PT・OTのための測定評価シリーズ」はその一環と理解しています.本書は,Danielsらの徒手筋力検査法の最新版である第10版に準拠したうえで,固定と抵抗や代償運動の防止を明瞭に示し,実際の臨床現場に即した別法や注意点なども説明することで,実用的な測定の信頼性と再現性を高めたMMTの標準化の集大成をみせています.また,今回の改訂で編集者に加わった遠藤達矢先生は,学生時代から15年以上にわたる伊藤先生との師弟関係を受けてか,新たな加筆箇所も統一感をもって編集されています.
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