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理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を購読対象とした画像評価に関する書籍が発刊されはじめて久しい.これは,PT・OTの国家試験に画像に関する問題が出題されるようになったためである.また,昨年の10月に改正された「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」の科目に医用画像の評価が含まれることになり,画像情報を評価に利用する方法を教授することとなった.併せて専門基礎分野のなかでもそれらの基礎知識を教授することも盛り込まれた.昨今の医療技術の進歩は目覚ましく,特に画像撮影の方法やその精度は著しく向上した.また,ペーパーレス化の進展もあり,鮮明な画像や映像がリハビリテーション室のパソコンでも閲覧できるようになった.画像情報も含めた患者情報を随時入手できるようになったことから,PT・OTにも画像情報を的確に読み解く知識と技術が求められるのである.
このような状況下,学生と臨床経験5年程度の若手のPT・OTを主な対象として本書が発刊された.本書は2つの章で構成されている.第1章は「PT・OTに診てほしい,画像の知識とポイント」で画像の簡単な撮像原理と診かたについて,第2章は「画像情報とケーススタディ」で,本書の多くのページがこの章に割かれている.PT・OTが臨床で担当する代表的な3つの疾患群である運動器系疾患,神経系疾患,内部疾患について症例を通じて画像を診るポイントが解説されている.症例ごとに疾患の一般的な病態を提示し,画像を診るポイントと予後予測が記述され,理学療法と作業療法介入の経過を術直後,術後2週,6週,12週,1年後の経過とともに病期ごとの画像が提示されている.つまり,画像の推移と症状の経過に応じた理学療法や作業療法介入の内容を経時的に理解できるように解説されている.このことから,PTやOTが対象者に介入する際に画像から読み取る情報は何かが理解できる.この編集方法は,過去に出版された画像の診かたに関する書籍では企画されなかった視点である.
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