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Lasègue TestはErnest Charles Lasègue(1816〜1883)が1864年に自身の論文に記載したが,その詳細は弟子であるPar J-J Forstの学位論文「DE LA SCIATIQUE」(1881年)で提出させた.Lasègue Testの原法は,まずSLRテストを行い,次いで膝関節を屈曲(bent-leg-raising)させて疼痛のないことを確認する.この2つの手技により,股関節や筋群の疾患ではなく,下肢伸展に伴う腰部神経根の伸展による症状であることが示される.しかし,現在行われているLaségue Testは股関節90°屈曲位からの膝伸展により,陽性か陰性かのsignとして確認されている.SLRテストにおいても,本来は下肢伸展位での挙上角度とその症状の記載により表記されていたが,陽性・陰性の表記が市民権を得ているようである.
整形外科徒手検査の目的は疾患を把握するためのものとされている.しかし,先に述べたように,検査法も時代に応じて変化している.編者の序文にもあるように,「その多くは,最初に発表した医師をはじめとした医療者の名前や運動の名称がテスト名となっており,同じテストでも別名が用いられることもあります」とある.一つひとつの検査法について吟味していればこその発言と受ける.発案者の考えとは異なったテスト法にその名称が使用されていることもしばしばある.しかし,そのような変化はその疾患をより精度高く判断できるよう進化したものと考える.Door A Kempらが1950年報告したKemp Testは,外側椎間板ヘルニアに用いるテスト法として考案された.現在では外側陥凹部の脊柱管狭窄症の検査としての有用性が高い.また,手根管症候群で用いられるPhalen TestもPhalen自身はThe Wrist Flection Testとして考案したものであったが,Phalenの本来のテストでは誘発が弱く,現在の肘を張って十分手関節を掌屈させたほうが誘発しやすく,名前だけが残ったテスト法である.
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