Japanese
English
症例報告
母趾MTP関節周辺の瘢痕組織との癒着によりクロスフィンガーを呈した長母趾伸筋腱断裂縫合術後の1症例
A case of crossed fingers after suture repair of extensor hallucis longus tendon rupture due to adhesion with scar tissue around the MTP joint of the big toe
小瀬 勝也
1
,
赤羽根 良和
1
,
棚瀬 泰宏
1
,
山川 祥平
1
,
吉井 太希
1
,
藤田 圭佑
1
,
野々村 諒太
1
Katsuya KOSE
1
,
Yoshikazu AKABANE
1
,
Yasuhiro TANASE
1
,
Shohei YAMAKAWA
1
,
Taiki YOSHII
1
,
Keisuke FUJITA
1
,
Ryota NONOMURA
1
1さとう整形外科リハビリテーション科
キーワード:
長母趾伸筋腱断裂縫合術後
,
超音波画像診断装置
,
クロスフィンガー
Keyword:
長母趾伸筋腱断裂縫合術後
,
超音波画像診断装置
,
クロスフィンガー
pp.1001-1006
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203165
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨 長母趾伸筋腱断裂縫合術後の理学療法は,およそ術後4週から開始し,縫合腱の再断裂や瘢痕組織の形成を予防しつつ滑走性を改善することが重要とされている.今回,創部の感染により術後7週から理学療法が開始され,術後12週にクロスフィンガーを呈した症例を経験した.本症例のクロスフィンガーは,腱と瘢痕組織間の滑走障害が起因となり母趾metatarsophalangeal(MTP)関節軸は外側に偏位するとともに,母趾を屈曲すると母趾は外反方向に牽引され生じていた.理学療法では超音波画像診断装置を用いて経時的に確認しながら,瘢痕組織から縫合腱の浮き上がりを促した後に遠位滑走を促し,慎重に屈曲可動域を増加させた.以上の理学療法を実施した結果,術後16週でクロスフィンガーは消失し,組織間の滑走性と母趾屈曲時の遠位方向への滑走性も改善した.腱の滑走性の獲得に併せた段階的な屈曲可動域の獲得が,クロスフィンガーを軽減させたとともに二次的な関節障害を抑止し,治療を進展させる手段と考えた.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.