特集 多様化する急性期理学療法
—エディトリアル—多様化する急性期理学療法
高橋 哲也
1
Tetsuya TAKAHASHI
1
1順天堂大学保健医療学部理学療法学科
キーワード:
多様化
,
急性期
,
理学療法
,
早期離床・リハビリテーション加算
Keyword:
多様化
,
急性期
,
理学療法
,
早期離床・リハビリテーション加算
pp.6-11
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202904
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地域医療構想と病床機能の変更
日本における少子高齢化,総人口の減少,人口構造の変化(特に生産年齢人口の減少)の問題は,医療制度の持続可能性に大きな影を落としている.団塊の世代が75歳以上を迎え,後期高齢者数が大きく膨れ上がり,医療・介護・福祉など社会保障費が増大するとされる2025年,そして,生産年齢人口が急減する一方で高齢者数がピークを迎える2040年には,医療の需給バランスはさらに崩れるとされ,それらを見据えた検討が進められている.
人口構造の変化には地域格差があることから,地域の医療需要に応じた医療提供体制の整備が求められ,2014年6月に成立した「医療介護総合確保推進法」に基づく,「地域医療構想」が制度化されている1).地域医療構想は,将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床推計から,病院を4つの医療機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に分け,病床の機能分化と連携を進め,効率的な医療提供体制を実現する取り組みである(図)1).2021年10月時点で,二次医療圏(一般の入院に係る医療を提供することが相当である単位)を1つの構想区域とし,335ある各構想区域で高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能ごとに医療需要と病床の必要量を推計し,地域における必要な医療機能や病床を確保するとされている.そのため,地域医療構想調整会議の議論によっては,理学療法士の勤務する病院が病院機能を転換したり,ほかの医療機関と再編統合したりする結果,診療密度が特に高い医療を提供する高度急性期機能病院で勤務することになるかもしれない.
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