書評
—紀伊克昌(監修)金子断行(著)—「近代ボバース概念による正常発達分析—脳性まひの治療示唆」
大槻 利夫
1,2,3
1上伊那生協病院回復期リハビリテーション課
2ボバース成人部門上級講習会
3日本ボバース講習会講師会(JBITA)
pp.1349
発行日 2022年11月15日
Published Date 2022/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202861
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ボバース概念を日本に紹介し,発展させてこられた紀伊克昌先生のもとで長期にわたり脳性まひの治療や,セラピストをはじめとするリハビリテーション関係者の指導・育成およびご家族の指導に携わってこられた金子断行氏が,姿勢・運動制御の発達をベースにした近代ボバース概念による脳性まひの評価・治療介入のための解説書を執筆された.
最初,成人分野で働いている私が書評を書くことに戸惑いを感じていたが,本書を読んで納得した.すべての章で,成人分野での中枢神経系に問題を抱える患者の評価,治療介入にもすぐさま用いることができる内容になっている.本書の「序」にある「赤ちゃんが示すパフォーマンスには無駄なものはひとつもない,すべての運動や感覚が次の段階に進む跳躍台であり,二足直立にむけての準備となっている」,これは重力に抗して二足直立を獲得していく治療介入を日々行っている成人分野のセラピストにとっても,患者さんの反応を見ていく際に重要な視点だと考えている.
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