特集 進歩する低侵襲手術に応じた理学療法—治療プログラム,目標設定,リスク管理
肩関節の低侵襲手術と理学療法
中村 絵美
1
,
川崎 隆之
2
Emi NAKAMURA
1
,
Takayuki KAWASAKI
2
1順天堂大学保健医療学部
2順天堂大学医学部整形外科学講座
キーワード:
肩関節鏡視下手術
,
肩甲上腕リズム
,
肩甲骨アライメント
,
上腕骨頭異常運動
,
腱板機能
Keyword:
肩関節鏡視下手術
,
肩甲上腕リズム
,
肩甲骨アライメント
,
上腕骨頭異常運動
,
腱板機能
pp.165-169
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202573
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代表的な肩関節鏡視下手術の実際
近年,肩関節手術の多くは関節鏡下で行われており,反復性肩関節脱臼に対する関節唇形成術(図1)と腱板断裂に対する腱板修復術(図2)が代表的な手術として挙げられる.関節唇形成術は,破綻した関節唇関節包複合体(Bankart病変)を修復することを目的とし,一般的に肩甲骨関節窩の3,4,5,6時に対してアンカーを刺入し,関節唇関節包複合体を固定する(図1).このとき下関節上腕靱帯(inferior glenohumeral ligament:IGHL)に十分な緊張をもたせて弛緩した関節包を修復することに留意する.また腱板断裂に対しては,上腕骨結節の付着部にアンカーを刺入し,剝がれた腱板を可及的に元どおりに修復することを目的とする.断裂の大きさや形態に応じてアンカーの数や配列,修復方法を変えるが,一般的には二列に刺入したアンカーを用いて,スーチャーブリッジ法を行うことが多い(図2).いずれの手術においても皮下侵襲は関節鏡挿入部のポータル部分のみであり,術創部が術後の関節可動域や筋機能改善の妨げにはなりにくいのが特徴である.
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