報告
端座位において骨盤後傾が肩甲上腕リズムに及ぼす影響
篠田 雄一
1
Shinota Yuichi
1
1いちはら病院リハビリテーション部
キーワード:
肩甲上腕リズム
,
骨盤後傾
,
姿勢
Keyword:
肩甲上腕リズム
,
骨盤後傾
,
姿勢
pp.1055-1060
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100706
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肩甲上腕リズムは,Codmanが上腕骨挙上に付随して回旋する肩甲骨の連動現象を肩甲上腕リズムと名付けたことを発端とし,Inmanら1)はこのリズムが一定の決められた比率となっていることを報告した.一方,Doodyら2)は,このリズムが胸郭の形,挙上時の抵抗によって変化することを報告した.本邦においては,池田ら3)が肩甲骨面(scapular plane)での動的場面における計測を行った他,原田ら4)が運動速度や負荷の有無によっても,このリズムが変化することを報告するなど,諸家の報告がみられる.
理学療法士は様々な障害に対し,治療対象を原疾患のみに限局せず,姿勢による影響を考慮して治療にあたる.これは肩関節疾患に対して行われる理学療法場面においても同様であり,肩関節に限局した問題の改善にのみ焦点を絞ることなく,肩関節に影響を与えることが予想される要因についても,その改善を目的として理学療法を施行する.その1つとして姿勢の変化が肩関節に及ぼす影響も考慮されると考える.しかし姿勢が肩関節機能に及ぼす影響の根拠に関して,記述されているものは数少ない5~7).理学療法士が姿勢による肩関節への影響を推測しながらも,未だその明確な根拠をもたないままに臨床に臨んでいると言わざるを得ない現状にある.
本研究は,体幹を直立させた端座位と骨盤を後傾させた端座位の2条件を設定した.この2条件における肩甲上腕リズムを調査し,同一被験者の姿勢の変化が肩関節機能に及ぼす影響を検討した.その上で肩関節疾患に関する理学療法場面において,姿勢を考慮する意義を検討することを目的とした.
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