連載 とびら
ある日の振り返り
柳根 建博
1
1介護老人保健施設メデケアタマイリハビリテーション部
pp.497
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202295
- 有料閲覧
- 文献概要
日々限られた短い時間のなかで,患者さんの何を見て,何を感じ,どれだけ丁寧に触れることができているのだろうか.的確に問題点に迫れているのだろうか.治療後は身体と動作,心はどう変わったのだろうか.重度化予防や維持目的が多い生活期で,多忙な業務のなか,今日も自分を戒めている.
30数年前,私は東京で映像技術者として音楽ビデオやCM,TV番組の映像制作に没頭し数々の作品制作に携わっていた.レギュラー番組も数本担当していた.自分の技術をもっと役立てたいと願い,青年海外協力隊に参加した.3年間,中東のヨルダン大学教育技術センターで教育用ビデオの制作を現地スタッフと共に行った.イスラム文化に戸惑いながら悪戦苦闘の日々だった.派遣中のある夏の日に、一人の隊員が事故で急逝した.享年32歳,茅ケ崎市出身のSEで趣味はサーフィン.私と同年代で週末はよく共に過ごし,「また来週」と言って送り出したまま帰らぬ人となった.悔しさ,悲しさ,自分の無力さを痛感した.彼の分まで生きようと誓った.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.