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はじめに
ラグビーワールドカップ2019日本大会は,日本中に感動をもたらし,2019年の流行語大賞にて年間大賞となった「One Team」は,多くの場面で引用された.日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは,選手の自主性を重視したチーム作りを追い求め,信頼関係で結ばれた「One Team」を作り上げた.日本ラグビー界でも有名な言葉「One for all, all for one(1人はみんなのために,みんなは1つの目的のために)」はリハビリテーションの世界に置き換えて使うことができる.目標達成のために1人ひとりが役割を果たし,問題が発生すれば仲間が全力でフォローする.この積み重ねが「One Team」を作り上げる.互いにリスペクトし,フォローし合うなかで形成された帰属意識や組織の貢献意識は働きがいにつながる.
一般的に働きやすい職場環境とは,明るい雰囲気で,人間関係がよい,年次有給休暇(年休)がとれる,子育て中のスタッフへの配慮がある,自己研鑽ができるなどをイメージしやすい.そして,最近の働きやすい職場作りの要素には,ストレスチェック制度による高ストレス者への支援やハラスメント防止の取り組みも挙げられる.しかし筆者は,働きやすい職場の基盤は組織のまとまりと考える.「One for all, all for one」の精神で「One Team」をめざし,組織作りをすることが重要な課題である.そのためには,職員は就業規則と倫理規程を遵守すること,誠実に権利を行使しながら義務を履行し,管理職は職員に正確な情報提供と対応を行うことが前提となる.
筆者が勤務する熊本リハビリテーション病院(以下,当院)は,病床数225床(一般病棟90床,回復期リハビリテーション病棟135床),リハビリテーション関連として,通所リハビリテーション事業所,訪問リハビリテーション事業所,訪問看護ステーション,地域リハビリテーション広域支援センターがある.156名のセラピストが在籍し,職員研修の一環として部署異動を実施している.近年,育児休暇や育児短時間勤務制度を利用して働く女性スタッフも増え,働き方改革やワークライフバランス推進による多様な働き方への対応が必須となってきた.すべての職員にとって働きやすい職場作りをめざした職員マネジメントについて,当院の取り組みを紹介する.
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