書評
—坂井建雄(監修)/町田志樹(著)—「—PT・OTビジュアルテキスト専門基礎—解剖学」
工藤 慎太郎
1
1森ノ宮医療大学保健医療学部
pp.385
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201515
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理学療法学科に入学して最初に出会う関門は,解剖学,生理学に基づく運動の解釈であろう.この関門をしっかりと実力でくぐり抜けたセラピストと,何とか?くぐり抜けてきたセラピストは,臨床で病態の解釈という大きな壁に挑む.しかし,この壁は学生時代のテストや国家試験のように解答を覚えたり,参考書をみたら常に解答が明示されているわけではない.臨床で病態を解釈して,闘うためには,解剖学や生理学の知識が不足していることに気づく.
著者は日本全国を飛び回りセラピストのための解剖学の再教育にモチベーションをもっている根っからの教育者である.セラピストになって解剖学研究に身を置くと,どうしても研究や臨床が楽しくなる.患者を救う方法を伝えたいが,学生時代に教わった内容くらいは自分で勉強し直すべきと考えてしまう.しかし,解剖学の成書の多くは図が多くあるものの,解説の少ないものが多い.また,セラピスト向けの解剖学書と言われると,全体を薄くして,簡素にした感じのものが目につく.そんな解剖学書をみているだけではなかなか理解しきれない基礎的な部分から話をしているのが著者の主宰する講習会『いまさら聞けない解剖学』なのだろう.
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