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はじめに
日本理学療法士協会(以下,本会)では,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)を通じて「スポーツ理学療法」の発展と,理学療法士が国民に向けた社会貢献として広義のスポーツ(運動)をツールとした健康・予防の発信源であることを強調する絶好の機会と捉えている.
最初に私事となるが,この執筆依頼を受けたとき,1994年に広島市で開催された「第12回アジア競技大会(12th Asian Games Hiroshima 1994)」を思い出さずにはいられなかった.筆者自身の所属県が開催地であり,「アジア競技大会選手村診療所内理学療法室」を運営した一員として,当時のことが走馬灯のように思い出された.四半世紀前の理学療法士たちの取り組みやデータなどに興味のある方は,文献1)をご参照いただきたい.
さて,近年開催された夏季オリンピック・パラリンピックに日本選手団の一員として参加した理学療法士は2012年ロンドン大会では4人,2016年リオデジャネイロ大会では7人であった.また,冬季の2014年ソチ大会では4人,2018年平昌大会では7人がかかわり,その報告会がまさに行われている2).なお,いずれの大会においても競技団体付として参加した理学療法士が多数存在することを加えておく.
今回の東京2020大会の開催は2013年9月に,アルゼンチン・ブエノスアイレスにおいて国際オリンピック委員会(International Olympic Committee:IOC)の総会で最終決定された.その東京2020大会招致決定後,本会はスポーツに関係する有識者や関連団体からのヒアリングを行い,現場の「スポーツ理学療法」の実態とニーズ調査を実施するとともに,同時に他団体との調整を重ねてきた.それらの結果も踏まえ,本会における東京2020大会に向けた事業とそれ以降につなげるレガシー(Legacy)事業,そして会員に対する期待も含めた行動指針などについてご紹介する.
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