講座 理学療法に関するガイドラインup date・2
理学療法に関するガイドラインup date—糖尿病
片岡 弘明
1
Hiroaki Kataoka
1
1KKR高松病院リハビリテーションセンター
キーワード:
2型糖尿病
,
理学療法
,
診療ガイドライン
Keyword:
2型糖尿病
,
理学療法
,
診療ガイドライン
pp.453-462
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201201
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はじめに
わが国の糖尿病患者は年々増加傾向にあり,厚生労働省から示された2016年度の国民健康・栄養調査1)では,2012年の前回調査から50万人増加し,1,000万人を超えたことが報告された.糖尿病は,慢性的な高血糖の持続により,糖尿病特有の合併症である細小血管合併症(神経障害,網膜症,腎症)や大血管合併症(脳血管疾患,心血管疾患など)を引き起こし,ADLやQOLを低下させてしまうことから,血糖コントロールを良好に維持することが糖尿病治療の主軸となる.そのため,多職種からなるチームアプローチが必須であるが,そのなかでも理学療法士は,生活習慣の改善による糖尿病の発症予防(1次予防),代謝の安定化と合併症の発症・進展予防(2次予防),合併症によって生じた身体機能および生活機能などの改善(3次予防)と果たすべき役割は大きい.
日本糖尿病学会が作成した「糖尿病診療ガイドライン2016」2,3)からは運動療法に関するエビデンス,日本理学療法士協会が作成した「糖尿病 理学療法診療ガイドライン(第1版)」4)においても,(網膜症や腎症に対する理学療法の科学的根拠はまだ不十分であるが)運動療法や理学療法の効果,療養指導や患者教育などに関するエビデンスが示されている.臨床現場では,これらの診療ガイドラインを参考に,どのようにして糖尿病患者の評価を行い,治療に結びつけていくかが重要となる.そこで本稿では,2症例を例に挙げて各学会・協会の診療ガイドラインを提示しながら,最近の研究報告も交えて糖尿病患者に対する理学療法の考え方・進め方について解説する.
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