特集 筋力低下と理学療法
脳卒中後の筋力低下と理学療法
菅原 憲一
1
Kenichi Sugawara
1
1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科
キーワード:
中枢神経障害
,
筋出力
,
筋緊張異常
Keyword:
中枢神経障害
,
筋出力
,
筋緊張異常
pp.15-19
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201083
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はじめに
脳卒中の病態は古くから病態生理や神経生理学などの基礎医学または臨床医学における各種の評価,さらには症例の呈する症状をもとに検証され,そのメカニズムに迫る試みがなされてきた.しかし,片麻痺を基本とするその障害を考えるとき,麻痺側,非麻痺側という区分と麻痺側における質的,量的および時間的な変化が各身体部位においても複雑に絡み合い存在している.
中枢神経障害の筋の特性としては,明確に一次的障害と二次的障害を区別して考慮するところから始めるべきである.特に麻痺筋の筋出力特性を考慮する場合,一次的障害である痙縮などの筋緊張異常,二次的障害である筋力低下,拘縮などの要因を判別することは必須である.
近年における慢性脳卒中患者の麻痺側筋力に対する見解では,運動療法により筋力は有意に改善し,各種能力障害の改善も期待されるとされている1).筋力の改善は運動機能,歩行スピードの増加,日常生活活動の改善などと正の相関が認められている.このように改善する要因と,改善しない要因を分別して理解することが必要となる.そして,このような分析と併せて,非麻痺側,麻痺側を問わず筋力の改善を目的とした取り組みが機能的な向上を行ううえで重要であると言える2〜4).
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